ある青年

小学校6年生のとき父親と虫取りに出掛け、交通事故にあい
1年4ヶ月意識不明となりその後、幸いにして回復。
現在自宅で家族と暮らしリハビリを続ける車椅子の青年。
病床でお父さんが眠り続ける息子の耳元で来る日も来る日も
ずっと赤いりんごの唄をくちずさんでいたという。
父親の、りんごは何も言わないけれど、という唄につづき、
青年が上手に歌っていた。お父さんは笑っていた。
この唄のおかげで俺は目覚めたのかもしれない、感謝していると青年は言った。

書道をするとき、その書く字にまつわることを想いながら書いているという。
「夏」を書いたときは、セミ
「生」を書いたときは、精一杯生きようと。


以前、スガシカオがある番組で言っていた。
かつて見た景色が浮かぶ詞と想像だけで書かれた詞では歌ったとき人に言葉が届くかどうか全然違う、といった趣旨のことを話していた気がする。そんなことを思い出した。


きらっといきる「ほんとに生きててよかったなあ〜びまん性軸索損傷」
SONGS 第62回 スガシカオ