蝶の羽ばたきと鳥の視点

非線形な方程式でモデル化されるとき入力誤差が時間に対して非線形とくに指数関数的に拡大してしまうような性質はバタフライ効果と呼ばれている。北京での蝶の羽ばたきがニューヨークで嵐をひきおこす、というような比喩的表現で。実際、半年後の特定の場所の天気をピンポイントで精確に予測することは困難というレベルを越えてほぼ不可能なのでしょう。

一方で日本の気象庁による明日の天気や週間天気予報は信頼感があります。
自然現象の数理モデル化には選択肢がきっと多様にありうることでしょう。抽象化の着眼点にしても具体的パラメータの数値にしても。妥当な推定とモデル化が重要なのでしょう。

物理にはユニバーサリティ・クラスという概念があるといいます。モデルの詳細が異なっていても定性的な結論が等しくなるモデルの集まりがある、という考えです。たとえば気象庁の予報精度が高いのは、もしかしたら、仮に理想的なモデルがあるとしたときにそれとユニバーサリティ・クラスが同じモデルを用いて予測しているから、ということが言えたりするのかもしれない。

細部のもたらす重要性、長期的展望を汲み尽くすことは実際的には原理的に困難だということ。細部を知りえずとも疎視化の仕方しだいでは、全体の持つ特徴を精確に俯瞰しうること。
この両方が成り立つことを人の営みの実感だけでなく、科学・実学の世界で見出されているのは不思議な素晴しい感じがする。

くりこみとか変分原理の適用で記述されうる世界のありかたは綺麗な景色のような不思議さを感じる。