訃報

確率微分方程式伊藤清氏が11月10日にお亡くなりになった。93歳。
文化勲章を受章されると文化の日に報道されていたが皇居での映像では拝見しなかった。ノーベル物理学賞を受賞された小林氏と益川氏、指揮者の小澤征爾氏、作家の田辺聖子氏は映っていた。きっとご高齢のためやむなく出席ができないのだろうと受章者の欠席は珍しい事柄におもえて印象に残っていた。今、検索したら入院されていて受章にあたり京大を通じてコメントも発表されていたようだ。(http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20081029ddlk26040615000c.html
学術への貢献を国が称える。これは素晴らしいことだとおもう。

ノーベル賞受賞者発表の頃、洞察に満ちた記事があった。
ニュートリノが質量を持つことを裏付ける世界初の歴史的実験を10年前に行なった戸塚洋二博士という方についてだった。戸塚博士は今年の夏7月にお亡くなりになったため、物理学上の歴史的業績を残した戸塚氏にノーベル財団は永遠に賞を授与する機会を失ってしまったのです。(http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20081009/173322/)

学者・研究者は、国や特定の組織のため「だけ」に情熱をもち未知のことがらを探求している、とは必ずしも言えないのでしょう。けれども、その成果とそれをなした人たちを国や組織が称え労うのは本当に美しくみえます。それは、授与する国や組織にも学者・研究者と同様の叡智を尊ぶ姿が感じられるためかもしれない。叙勲を選考する方たちの心労は想像できませんが、きっとたいへんなことでしょう。
ご遺族に慰めがありますように。